文様は卓の上面に鳳凰、基台に麒麟をデザインし、脚は全体に唐草が描かれている。技法上からは総体に鮮やかな朱塗りの上に文様を箔絵描きし、要所にやや白く伏彩色された薄貝を嵌め、朱と金の配色が美しい。
明治四十年(一九〇七年)頃の作
勇助塗とは、その名が人名であることからも判るように、江戸末期、初代石井勇助が当時唐物として珍重されていた中国、明時代の漆器の研究を重ね、生みだした新しい技法です。
特徴としては、唐風の雰囲気をもつ意匠に花鳥・山水・人物などの錆絵や箔絵を描き、要所に青貝、玉石などを施すなどの総合技法によってつくりだされるもので、繊細かつ雅趣に富んだものです。